永井秀昭選手現役引退コメント

2008年1月に岐阜日野自動車と契約しました。当初はまだまだ実力不足でとても世界で戦う力はなく、競技人生もここまで長くやれるとは想像できませんでした。ただ、2012年岐阜清流国体まではがむしゃらに、懸命にやってやろう!そして必ず結果を出す!と強く心の中で思っていたと事を今でもはっきり覚えています。そこからは会社を始め、岐阜県、色んな方からのサポート、支援もありながら競技に対して真摯に取り組み,懸命にトレーニングに励みました。

岐阜日野自動車スキークラブとして活動し、初めてのタイトルは2009年の全日本選手権大会での優勝です。ここで優勝することが出来て、それまでの壁を一つ突破出来た喜びの方が、優勝した事より嬉しい出来事でした。これを機に更なる高みを目指して、トレーニング打ち込み全日本選手権を3連覇、それ以外の国内大会の勝ちを積み上げ、清流国体のシーズンを迎えました。

迎えた2012年シーズンはオフシーズンからも調子が良く、特にジャンプ種目に対して手応えを感じながら、順調にトレーニングを進めていました。いざシーズンが開幕してもオフの調子を継続し、12月北海道名寄市で行われたコンバインドの開幕試合を優勝し、翌日の全日本コンバインド大会で、W杯組も参戦する中5位入賞し、これまでの手応えが確信へと変わりました。この結果を評価して頂き、翌月のコンチネンタルカップ(ワールドカップ下部カテゴリー大会)への遠征メンバーに入ることが出来ました。

ここから私の世界への扉が開かれました。もちろん簡単な戦いではなく、少し隙を見せれば大きく順位を落とす世界です。ただ着実にコンチネンタルカップでも成績を残し、ワールドカップへの出場機会のチャンスをいただく事が出来たのです。出場の機会をいただけた試合は個人戦2試合のみ。初戦はワールドカップポイントが寄与される30位以内に入る事が出来ず、言わば惨敗の結果です。コンチネンタルカップの比ではない厳しい世界!もう後がない2試合目では、とにかく今の自分できる事を全てやろう!と言う気持ちで臨みました。結果は18位、見事ポイント獲得、嬉しさと安堵感で身体中が満たされていました。

その結果を評価していただきワールカップの後半戦の遠征メンバーにも選出されました。ただ私には契約以降ずっと目指していた岐阜清流国体があったため、一度帰国し、国体へ向け高山市へ。入社以降1番の目標であった岐阜清流国体でも地元岐阜の声援を大きく受け、コンバインド成年Bにおいて優勝することが出来ました。この優勝をきっかけにその後のワールドカップでもポイントを重ね、翌年からワールカップ遠征メンバーに入り、夢であるオリンピック及びノルディック世界選手権での活躍を目指しました。

2013年シーズンにはノルディック世界選手権に出場し個人ラージヒルで5位入賞を果し、30歳で迎えた2014年シーズンにはオリンピックがあり、初めての代表へ選出されました。夢にみた初めてのオリンピックの舞台、良い結果を残してやろうと意気込んだ思いとは裏腹に、中々うまくいかず思い描いていた結果といきませんでした。初めてのオリンピックはうまくいきませんでしたが、会社から現地に応援に来ていただきました!自分の結果は今一つでしたが、オリンピック観戦をとても楽しんでいる姿を見て、勝ち負けではない・選手だけではない、観客、そこに携わっている人々を含む全員がその場を楽しむ事もオリンピックの魅力の一つだと気付かされました。

遠征メンバーに選出されてから10年間ワールドカップ及びオリンピック、ノルディック世界選手権を主戦場として戦ってきました。その間オリンピックは3大会出場。2014年ソチオリンピック、2018年平昌オリンピックは共にメダル獲得には至りませんでしたが、3回目、そして最後のオリンピックとして臨んだ北京オリンピック、日本チームが一つになった団体戦で銅メダル獲得!最後の最後で贅沢すぎるご褒美をいただきました!28年ぶりの団体戦でのメダル、色んな想いが詰まったメダル、その獲得に貢献することができた、その事が私の競技人生の中でも特別な1ページとなり、今後それが色褪せることはないでしょう!そして何よりも帰国後に社長をはじめ、会社の皆様、関係各所の皆様へメダル報告をした際、私以上に最高の笑顔で喜んでくれたことが何よりも嬉しい気持ちになり、その瞬間ようやく結果での恩返しができたのかな、と感じる事が出来ました。

2008年に岐阜日野自動車と契約しなかったら今の私、そして私がオリンピックでメダル獲得すことはなかったでしょう。それだけにここまで長きに渡って競技を続けさせていただいた会社、岐阜県には感謝してもしきれません。2023年の国体をもって競技生活にピリオドを打ちまちましたが、思い残す事がなくお腹いっぱい競技に取り組むことが出来て本当に幸せな競技人生でした!、本当にこれまで長きに渡り変わらぬご支援、ご声援をありがとうございました!このご恩は一生忘れることはありません!ここで経験した事を胸に次のステージでも頑張っていきます!

ありがとうございました!!!

永井 秀昭